
神経発達症(発達障害)とは?
神経発達症(発達障害)とは、生まれつきの脳の働きに偏りがあることで、物事の捉え方や行動パターンなどに違いが生じ、日常生活に困難が生じている状態のことです。
神経発達症(発達障害)にはさまざまな種類があります。また、同じ種類の神経発達症(発達障害)を持っていたとしても、特徴の表れ方は多様で、人によって異なります。神経発達症(発達障害)の子どもがいる場合は、その子の特徴を知り、それを踏まえた工夫や支援を行うことが大切です。
神経発達症(発達障害)の種類
神経発達症(発達障害)には、以下のような種類があります。複数の種類の神経発達症(発達障害)を併せ持つケースや、精神疾患を伴うこともあります。
注意欠如・多動症(ADHD)
学校、家庭、職場などの複数の場面で、年齢から期待される水準よりも、多動性・衝動性(落ち着きがない、順番を待つことが難しいなど)や不注意(注意力が散漫、ミスが多いなど)といった特性が顕著に見られる状態です。
※双極性障害(躁うつ病)と似ている部分があります。
衝動性という共通点があるので見分けがつかない、又はどちらも併発しているケースがよくあります。
またADHDには躁に使う薬が効くこともあります。
ADHDにはコンサータやストラテラという薬もありますのでドクターと相談するといいでしょう。
自閉スペクトラム症(ASD)
相手の気持ちを読み取れない、空気が読めない、冗談が通じず例え話が理解できない、
自分の気持ちをうまく表現することが難しいなど、対人関係やコミュニケーションに支障が生じるほか、こだわりの強さや、特定の物事に対する強い興味、感覚の過敏さなどが特徴です。なお、ASDには、自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害などが含まれますが、近年はまとめて「自閉スペクトラム症(ASD)」と呼ぶようになっています。
限局性学習症(学習障害)
全般的な知能には問題がないものの、読む、書く、計算するといった特定の学習行為のみが、他の知的能力に比べて明らかに困難な状態です。
この記事では主に上記の3種類について扱いますが、
以下も神経発達症(発達障害)に含まれます。
知的能力障害(知的機能の水準が平均より低く、そのために日常生活において困難が生じる)
協調運動症(両手や手足など、複数の身体部位を同時に動かす「協調運動」に困難があり、日常生活に支障がある)
チック症(意に反して身体が突発的に動いてしまう。意思に反する発声や動きを伴う多様なチックが1年以上持続し、日常生活に支障をきたす場合は「トゥレット症」と呼ぶ)
吃音「どもり」(音を繰り返す、なかなか話し出せないなど、なめらかに話すことが難しい)
神経発達症(発達障害)の子どもの特徴
神経発達症(発達障害)の子どもには、それぞれ以下のような特徴があります。
注意欠如・多動症(ADHD)
ADHDの特徴として、「多動性・衝動性」と「不注意」が見られます。具体的には以下のような特徴があります。
<多動性・衝動性>
落ち着きがない
手足をもじもじと動かす
教室で席を立つことが多い
静かに遊ぶことが難しい
おしゃべりが多い
順番を待つのが苦手
他人の会話やゲームなどに割り込む
<不注意>
学校の勉強でミスが目立つ
遊びや勉強などに集中し続けることが難しい
やるべき作業を最後までやり遂げることができない
作業の段取りをつけることが苦手
話しかけられても聞いていないように見える
整理整頓が苦手
集中力が必要な作業を避ける
気が散りやすい
忘れ物やなくし物が多い
不安や気分の落ち込み、気分の波などの精神的な不調を伴うこともあります。
こうした特徴は、学校生活で規律が求められるようになることで目立ちやすくなるため、ADHDと診断されるのは小学校に上がってからのほうが多くなる傾向があります。小さいうちは発達のばらつきが大きく、「年齢不相応に多動や不注意がある」のか判断しにくい面もありますが、幼稚園や保育園の先生が普段の様子を見て、発達面で「気になる」と感じたりします。
自閉スペクトラム症(ASD)
言葉の発達が遅い、目と目が合いにくい、一人遊びが多い、集団の輪にうまく入っていけない、といったことで受診するケースが出てきます。その他、以下のような特徴が見られることがあります。
周りの注意を引くための「指さし」をしない
相手がほほえんでも、ほほえみかえさない
親の後追いをしない
他の子どもに興味を示さない
成長し、さらにこまやかな対人スキルや非言語コミュニケーションが求められるようになったときにうまくいかないことで、ASDに気づくこともあります。
また、以下のように、特定の物事に対するこだわりが強いことも特徴です。
自分の興味のあることばかりを一方的に話す
自分の興味のあることには、毎日何時間でも熱中する
初めてのことや、決まっていたことを変更されることが苦手
新たな環境になじむことが苦手
限局性学習症(学習障害)
他の知的能力からは想像できないほど、読む、書く、計算するといった特定の領域だけが難しいのが特徴です。限局性学習症に気づくのは、通常、こうした能力が要求される年齢になってからです。
読み書きや計算は、「繰り返し努力すればできる」「できないのは努力が足りず怠けているから」と思われがちです。しかし、限局性学習症の子どもは怠けているわけではなく、脳の特性によってこうしたことが難しいのです。本人にとってどうしても難しいことをしなければならないということは、人一倍エネルギーを使うものです。何度も練習することでいくつか文字が書けたとしても、途中から雑になって読めないような文字を書く子、音読などで耳から何度か聞くうちに耳から理解して読めているように思えても、実際には文章が読めていない子もいます。
注意したい点は、「うちの子は落ち着きがないからADHDに違いない」といったように、行動の特徴だけで決めつけないということです。「落ち着きがない」という理由で受診しても、詳しくひもといていくと、実際には「感覚が過敏で、他の子が気になって席を立ってしまう」「先生の話が頭に入ってこなくて落ち着かない」というように、ASDの特性による場合もあります。また、「文章が読めないので集中できない」というように、限局性学習症が隠れているケースもあります。どのような特性を持っているかだけではなく、その特性の背景には何があるのか、注意深く観察する必要があります。
神経発達症(発達障害)は、大人になってから顕在化することもあります。子どもの頃は特性があまり目立たず見過ごされていても、大人になってから仕事でのミスが続いたり、人間関係に困難を抱えたりすることで、神経発達症(発達障害)に気づくことがあります。
また、感覚過敏(聴覚・視覚・味覚・触覚・体感覚)がある人が多いです。
中でも聴覚過敏がとても多いです。